This is a Japanese translation of “Part 9:All the evidence-based advice we found on how to be more successful in any job”[1]
自己啓発に関するアドバイスの厄介なところは、多くの場合、ほとんどエビデンスに基づいていないことだ。
例えば、目的を達成するためには「ポジティブに考えなさい」と何度言われたことがあるだろうか。これは高校の先生からベストセラー作家のキャリアの専門家まで、あらゆる人に愛されている最もポピュラーな自己啓発のアドバイスだろう。このスローガンの背景にある重要な考え方の一つは、理想の未来を想像すれば、そこに到達できる可能性が高くなるというものだ。
これのどこに問題があるのだろう?最近の研究によると、完璧な人生を想像すると、実際にそれを実現する可能性が下がるというエビデンスが見つかった。そうすることは、心地よいことかもしれないが、すでに目標を達成したような気になるので、モチベーションの低下につながるのだ。1 ポジティブシンキングが役に立つ場合については、この記事の後半でいくつか紹介する。
それ以外の多くのアドバイスは、誰かの一意見に過ぎなかったり、役に立たない決まり文句であったりする。しかし、キャリアや人生全般において生産性を高め、成功するために、誰もが取り組むことができるエビデンスに基づくステップが存在することが80,000 Hoursの調査を通してわかった。そして、先ほどの記事でみたように、何十年にもわたって、スキルを向上させることができるのだ。
そこで、過去10年以上にわたる調査によって見つけた最高のアドバイスを全て集めてみた。これらは、誰であっても、どんな仕事に就いていたとしても、自らのキャリア資本を高め、仕事により適した人材となることを通じて、インパクトを高めるためにできることである。
多くの場合、これらのエビデンスは私たちが望むほどしっかりしたものではない。しかし、私たちが知る限り最高のものである。私たちは、(i) 実証的エビデンスの確かさ、(ii) 私たちにとって理にかなっているかどうか、(iii) より多くを得られる潜在的な見込みが大きいか、(iv) そのアドバイスがどの程度広く適用可能か、(v) 試みることのコスト、などを考慮した上で、試すのが理にかなっているアドバイスはどれかを包括的に判断している。これらの詳細は、紐づいているリンク先や注に記している。
アドバイスはおおよそ以下のような順番に並べた。最初にくる項目は、より簡単で、より広く適用でき、上に挙げた基準においてより優れているものだ。よって、まずはそれらから始め、だんだん難しい分野に取り組むのが良い。
この後に続くアドバイスの多くは新しい習慣の構築に関するもので、規則的な行動やルーテーンを無意識のうちに実践できるようになるだろう。つまり、新たな習慣を身につけるのが上手くなれば、他のことすべては早くできるようになる。
そして、まさにそれに関する研究が存在する。『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』は習慣形成に関する基本的な行動科学を非常に実用的なガイドにしたベストセラー本である。より学術的なものがお好みなら、BJ・フォッグ氏による『習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』を見てみよう。
新しい習慣を身につけるためにには約30日かかる。たった1つの習慣でそれほど大変なのだから、5つも同時に始めるのは無理だろう!そこで、以下のリストにざっと目を通し、最も少ない労力であなたの生活に最も変化をもたらすと思われる分野を1つ選び、そこから習慣またはエクササイズを1つ選んで始めてみよう。
通常、3ヶ月から12ヶ月の間、ある一つの分野に集中して、1ヶ月ごとに1つの習慣を身につけたり、1つのエクササイズに取り組んでみたりする。
そして、勢いがついてきたら、より大きなものに挑戦するのが良いだろう。
より複雑なアドバイスをする前に思い出してほしいのは、野心的な人は往々にして、セルフケアを怠るということだ。その結果、燃え尽きてしまい、結果的に成功が遠のいてしまう。
実際、他者を助けることだけしか考えていないとしても、セルフケアをすることは重要だ。アダム・グラント教授が行った研究では、利他主義者であっても自分の利益にも気を配っている人の方が長期的には生産性が高く、結果的により多くの人助けを行うことができたことが示唆された。2
セルフケアをするために最も重要なことは、基本的なことに集中することである。十分な睡眠をとり、運動し、健康的な食事を摂り、親しい友人との付き合いを維持する。
これらの常識を、研究結果も裏付けているようだ。これらの要素は、あなたの日々の健康や活力だけではなく、日々の幸福度や活力にも言うまでもなく大きなインパクトをもたらす。3 実際、これまで見てきたように、おそらく人々が注力しがちな他の要素(収入など)よりもはるかに重要である。
したがって、これらの項目のうちどれか1つ大幅に改善できるものがあるのであれば、まずそれに取り組むことには価値がある。これらを改善する方法については、多くのことが書かれている。それらの中には、ちょっとした小技(例えば、アイマスクをするとぐっすり眠れるという人もいる)もあるが、最終的にはより良い習慣を築くこと(例えば、親友と毎週電話する予定を立てるなど)に行き着くことが多い。
ここでは、いくつかの簡単なコツとそれらをより詳しく学べる資料について紹介する。
20代の約30%が何らかのメンタルヘルスの問題を抱えている。4
もし、不安障害、双極性障害、ADHD、うつ病やその他のメンタルヘルスの問題に苦しんでいるのであれば、それに対処すること、あるいはより上手くそれと折り合いをつけられるようにすることを優先したほうがいい場合が多い。自分自身のためにも、他の人を助けるためにも、あなたができる最も優れた投資の一つである。
メンタルヘルスを最優先事項として、時間をかけて取り組むことで、有効な治療法やテクニックを見つけ、トップレベルのパフォーマンスを発揮するようになった人たちがたくさんいる。
私たちを含めた多くのスタッフはメンタルヘルスを主な優先事項としている。CEOはそれについてポッドキャストで語っている。
もし自分がメンタルヘルスの問題を抱えているかどうかわからないのであれば、それについて調査してみる価値は十分にある。何十年も診断を受けてこなかったが、診断と治療の結果、はるかに良い人生を送れるようになったという人も我々は知っている。
そして、正式な診断基準を満たすかどうかにはこだわらないこと。多くの精神疾患はスペクトルの上にあり(例えば、上機嫌から「普通の」不幸からうつ病まで)、正式に診断が下される臨界点は結局のところ恣意的なものである。重要なのは、貼られるレッテルではなく、より気分よく過ごすために役立つ方法を見つけられるかどうだ。
メンタルヘルスは私たちの専門分野ではないので、医学的なアドバイスをすることはできない。まずはじめに、医師の診断を受けにいくことをお勧めする。もし現在大学在学中なのであれば、無料で利用できるサービスがあるはずだ。
そうはいっても、私たちが個人的に役に立つと感じた資料をいくつか集めたので、ご参考に。
おそらく最もエビデンスに基づいた手法のセラピーは認知行動療法(CBT)である。これは、多種多様の症状に役立つことがわかっている。また、感情をコントロールすることは、誰にとっても極めて重要な生活スキルだ。CBTはそれが上手くなるために役立つ、エビデンスに基づく主な方法の一つだ。
また、CBTの伝統に則った様々なセラピー療法、たとえば弁証法的行動療法、アクセプタンス&コミットメントセラピー、行動活性化療法、コンパッション・フォーカストセラピー、暴露療法などを探求することもできる。読者の中には、フォーカシング、瞑想(下記参照)、内的家族システム療法が一般的な感情のコントロールに役立つと感じている人もいる。
以下は、症状別の追加情報である:
多くの症状に関して、上に記したような自分の力で改善するための資料だけでなく、セラピストと話すことは非常に有益である。重要なステップとしては相性の良いセラピストを見つけることである。相性は極めて重要で、いくつかの研究によると、「セラピーにおける連携」の度合い(治療同盟の深さ)というのが、セラピーの形式よりも重要であることが示唆されている。これはたいてい難しいことなのだが、以下にいくつかコツを挙げていく:
メンタルヘルスと同じように、身体の健康にも注意を払うことも重要だ
健康に関するアドバイスの多くは、インチキだ。しかし、おそらく最もエビデンスに基づいたアドバイスが存在する分野でもある。あなたの医師以外にも、NHSによるHeal A to ZやMayo Clinicのようなウェブサイトでは、様々な健康問題の治療法に関して科学的に合意が取れている事項が使い勝手のいい形でまとめて掲載されている。エビデンスに基づいた健康に関するアドバイスを得る方法はこちらをご覧あれ。
生産性にとっての最大のリスクが腰痛であるということは驚くべきことだ。少なくともいくつかの指標によると、世界的な不健康の主な原因となっている。5
共同創設者の一人であるウィルは、慢性的な腰痛により突然数ヶ月休養することになった。ウィルは有益なアドバイスを得るまでに、腰痛について10人以上の医療専門家に話を聞かなければならなかった。これは珍しいことではない。なぜなら、腰痛の原因は様々で、治療が難しいこともあるからだ。
反復性緊張損傷(RSI)は現代の職場でも起こりうる危険であり、タイピングやマウスを使う能力に永久的な障害をもたらす可能性さえある。
これらのステップは些細なことのように聞こえるが、統計的には、人生のどこかでひどい腰痛に直面する可能性はかなり高いので、これらの簡単な投資を行った自分に対して後から感謝することになるだろう。
もし症状が出たら、悪化する前にすぐに治療しよう。腰痛とRSIの治療法については、こちらをご覧あれ。
目標を立てる最良の方法については、様々な議論がある。結果と過程どちらにより重点をおくべきか。目標は野心的であるべきか、達成可能であるべきか。
これらの違いはあまり重要ではない。重要なのは目標を設定することに効果があるということだ。目標を達成する人は、より多くのことを成し遂げる見込みが大きい。
つまり、最も重要なのは、自己啓発のために目標を設定する習慣を身につけることだ。
まず手始めに、自分にとっての理想的な人生はどのようなものかを明確にすることだ。
例えば、あなたの10年後の理想の人生はどのようなものか?もしお金に心配がなく、失敗しないことがわかっていたら、どのように時間を使うのか?
達成したいことだけを考えるのではなく(多くの外的達成はそれほど幸福には影響しないようだ)、理想の「ありふれた水曜日」についても考えてみよう。朝起きてから眠りにつくまで、具体的に何をするのだろう?
その際、充実感を得るために通常最も重要な要素を心に留めておくのが有効である。
そしてこれは、あなたの方向性を明確にするための、もう一つの有用なエクササイズにつながる。あなたの人生を導くために最も重要な5-10の価値観を書き出してみよう。このリストからいくつか選ぶのも良いし、ライフ・コンパスのエクササイズを丸ごとやるのも良いし、Clearer Thinkingのこのツールを使うのも良い。
長期的目標に加えて(あるいはその代わりに)、来年又は四半期に関して、仕事上と個人的な目標をそれぞれ1-2個ずつ設定することを検討してみよう。
私(ベンジャミン)は「年次ライフレビュー」をするのが好きだ。これをするためのテンプレートとして、80,000 Hoursのチームが役に立つと感じたのはアレックス・フェルメールの「8,760時間」文書だ(私たちの組織とは関係ありません)。また、これらを実行するために私が作成した少し大袈裟な文書も公開している。
あなたのキャリアのための、1年に一度自分の仕事を振り返るための簡単なツールも作った。
よくあるパターンとして、多くの場合、結果は優先順位の上位2,3個から来るというものがある。これは「80/20の原則」と呼ばれることもある。20%の活動から80%の成果が生まれるからだ。
この原則はあなたの目標に関しても当てはまる可能性が高いので、優先順位を立てて、一番上の目標に全神経を集中することが肝要だ。
しかし、人生は常に多くの選択肢を提示してくるので、これは常に実践する必要がある。
これを行うための1つの練習法は、自分の目標のリストを作り、上位2,3個を選び、それ以下は全て「やらないことリスト」に入れることだ。
優先順位付けについてもっと考えたいのであれば、ここに5つのフレームワークがある。
常に自分が十分頑張れていないと感じるのは普通のことだ。しかし、優先順位をつけ、最優先事項に集中すれば、自分がベストを尽くしていることがわかる。
さて、目標を設定したら、どうすれば実際にそれを達成できるのだろう?
今最も雇用主から求めらているスキル(マーケティング、プログラミング、データサイエンスなど)が何なのかについて書かれている記事はたくさん見つかるだろう。しかし、人々があまり語らないのは、どんな仕事にも役立つスキル、つまり、すべてにおいてより効果的になれるスキルだ。
すでにそのような例をいくつか取り上げた。習慣の作り方、優先順位づけ、セルフケアなどだ。ここではもう1つ、個人的な生産性を高める習慣を身につけることを取り上げる。
例えば、実行意図である。「毎日運動をする」と言うのではなく、「仕事から帰ったらまずトレーナーを履いて走りに行く」といったように具体的にトリガーとなる動作を定義する。大規模なメタ分析によると、この驚くほど簡単なテクニックによって、人々が目標を達成する可能がはるかに高まり、その可能性が約2倍になることが判明している。(効果量は0.65)6
このセクションは、この記事の残りのアドバイスを実行するのにも役立つ。より社交的になりたい?コミットメント・デバイスを使おう。勉強にもっと集中したい?時間をバッチ処理(似たようなタスクをまとめて行うこと)をしよう。感謝日記を書きたい?毎日の振り返りに加えよう。
以下は、私たちのプログラムに関わった人々にとって、最も役に立ったと思われる生産性向上のためのリストだ。このセクションは特にエビデンスに基づくものではないが、それでもいいと思う。なぜなら、これらはちょこっと試してみて、それによって生産性が上がるか確認することができるからだ。それらを毎週一つずつ取り組んでみてほしい。そして、新しい習慣が身に付くまで、自分に合ったものを数週間続けてみよう。
なかなか実行に移せない場合はここから始めると良い。
これらのアイデアすべてに関して、すでに膨大な量が書かれている。私たちが望むのは、あなたがこれを読むことで、どのようアイデアが存在していて、どんな方法で始められるのかについてある程度イメージできるようになってもらえることだ。数ヶ月かけてこれらの習慣のいくつかを日課に取り入れたら、次のステップに進もう。
ここでは、生産性が高い人が実践するシステムや卓越した考察をいくつか紹介しよう。
上記を実践する手助けが必要?これについては、私たちはリネット・バイとともに取り組んでいる。彼女は効果的利他主義に興味のある人々に対して生産性に関するコーチングを実施していて、他にもたくさんのアイデアを掲載している素晴らしいブログを公開している。
ソーシャルスキルは人生のほとんどの側面で役に立つものである。それを向上させる方法に関する良いアドバイスは驚くほど少ないが、誰もが学べる本当に基礎的なものはいくつかある。世間話の仕方、社交的な状況についての考え方を変えるなど、小さな習慣を身につけることで、友人を作るのがずっと簡単になったり、同僚とうまくやれるようになったり、一般的に人と付き合うのがずっとうまくなる。
基本的なソーシャルスキルに関する最も人気のガイドはデール・カーネギーの『人を動かす』だろう。この本には「人にとって自分の名前というのは、どんな言語であっても、最も心地よく最も重要な音である。」といったアドバイスが満載だ。このアドバイスは少し古く、単純化されていて、時には、少しずる賢く思える時もあるが、多くの人は役に立つと感じている。ブライアン・キャプランによる本の要約はこちら。
私たちのお気に入りのガイドはクリス・マクラウド著の『社交において成功する』で、現在は書籍としても読むことができる。
さらに高度なソーシャルスキルを磨きたいのであれば、オリビア・フォックス・カベイン著の『カリスマ神話』が役立つかもしれない。この本は現存する限られた研究をなんとか実践しようと試みている。また、即興演劇やToastmastersといったものが役に立つという人もいる。
結局大事なのは、練習を重ね、初対面の人と話すのに慣れることだ。従って、次のセクションのステップにも従いながら、ソーシャルスキルの向上に取り組むことが有効である。
キャリアでの成功を収めるためには人脈が重要だ、と誰もが口を揃えて言うが、これは正しい。求人の大部分は、人脈を通じて見つかるものであり、おそらくその多くは広告が出されることもなく、人脈を通じてのみ知ることができる。
しかし、人脈の重要性は、就職活動にとどまらない。「人間は最も長い時間を過ごす相手5人の平均になる。」と言うのは言い過ぎかもしれないが、この言葉には間違いなく真実も含まれている。友人たちは、あなたが普通だと思う行動(社会規範)を決定づけ、(感情の伝染を通して)あなたがどう感じるかに直接影響を与える。また、友達は新しいスキルを直接教えてくれたり、新しい人を紹介してくれたりする。
クリタキスとファウラーの著書『コネクテッド』をはじめとして、研究者たちもこの影響力を測定してきた。ある研究によると、友人の誰かが幸せになれば、自分が幸せになる可能性が15%高くなる。また、友人の友人が幸せになれば、あなたが幸せになる可能性は10%高くなる。8
あなたの人脈は、パーソナライズされた最新の非公開情報に対する主要な情報源でもある。例えば、バイオテクノロジー業界で自分に合う仕事を知りたければ、その業界の友人に話を聞くのが一番だ。ある業界のトレンドや日々の仕事の実態を知りたい場合も同様だ。
もし、新しくプロジェクトを始めたり、誰かを雇ったりする場合、人脈は最高のスタート地点となる。なぜなら、すでによく知っていて、信頼できるからである。
最後に、ソーシャルインパクトに関心があるのであれば、人脈の重要性はさらに増す。この理由の一部は、グローバル・ヘルスやアニマル・ウェルフェアなど重要なアイデアに関して、自分の人脈内にいる人々を説得することができるからである。しかし、それだけではなく、あなたの行動がネットワーク内の社会規範を形成し、それによって前述したようなポジティブな行動を広めるのに役立つからである。例えば、あなたがより多くの寄付を始めれば、複数の人がそれに加わる可能性は高い。
人脈作りというと、聞こえが悪いが、その本質は単純だ。自分が好きだと感じる人に会い、その人を助け、純粋な友情を築く。たくさんの人に会い、その人々のために役立てる小さな方法を見つけられれば、頼みごとがある時に頼れる人がたくさんできる。しかし、見返りを期待せず、ただ人助けをするのがベストだ。それが最高の人脈作りをする人のやり方であり、それが最も効果的というエビデンスもある。9
人脈交流会を通じて人と出会う必要はない。新しく人と出会うための一番良い方法は、すでに知っている人を通じてである。紹介をお願いし、どうして会いたいのかを説明する。(ここにいくつかメールのテンプレートがある。)あるいは、共通の趣味を通じて、すなわち自分が実際に楽しんでいることを通じて、人と出会うこともできる。
初対面の人に会う時に役立つ習慣は「5分間の親切」である。5分でできるようなことで、その相手にとって役立つことを考え、実行する。5分間でできる最善の親切を2つ挙げるとすると、誰かを紹介すること、もしくは何か本または別のリソースを紹介することである。適切な紹介には誰かの人生を変える力があり、あなたが失うものは何もない。
しかし、それでも他の人に連絡するのは努力を要する。長期的には、自動的に人脈を構築できるような習慣を身につける方がもっと良い。例えば、定期的に集まるグループに参加したり、来客の多い人と一緒に暮らしたりする。サイド・プロジェクトを始めるのも効果的だ。新たな人と出会い、一緒に仕事をする良いきっかけになり、より有意義なつながりを築くことができる。
数あるソーシャルメディアの中でも、プロフェッショナルな人脈を作り、業界でより多くの人に知られる存在になるために最も役立つものとして現在私たちが最も注目しているのがツイッター(現:X)だ。
ツイッターは良質のコンテンツがあって初めて機能するが、そのためにできる比較的簡単な方法はいくつかある。その一つは、自分が知っている(仕事上関連性のある)ニッチなトピックを選び、自分のフィードがそのトピックに興味がある人がフォローする重要なアカウントになるようにすることだ。また、ある分野の最新の研究やニュースに関する要約を投稿するという方法もある。(例えば、イーサン・モリックは心理学の論文の要約を投稿することで多くのフォロワーを獲得している。)また、自分がつながりたい人に気の利いたリプライを投稿するのも効果的だ。
同様の戦術をニュースレターに応用することもできる(例えば、読者の一人であるジェフェリー・ディングはChinAIニュースレターを立ち上げた。)立ち上げ方のガイドはこちら。
人脈には、深さと広さの両方が必要だということはお忘れなく。あなたのことをよく知っていて、窮地に陥った時に助けてくれる味方が何人かいると便利だが、多種多様な意見やチャンスを見つけられるように様々な分野の人を知っておくのも有用だ。異なるグループ間の「架け橋」であることが、仕事を得る上で最も役立つということのエビデンスも存在する。
あなたの最も重要な味方5人のリストを作成し、定期的に連絡を取るようにする。いっぽうで、人脈の幅を広げるために、まったく新しいタイプの人と出会う方法も考えよう。
記事の後半では、人脈を広げるために最良の方法を取り上げる:
さらなる読み物
業界の中心地に引っ越すべきか?
あなたの人脈を大きく広げる方法の一つは、住む都市を変えることだ。
リモートワークが台頭しているとはいえ、産業が特定の地域に集積していることは今でも事実だ。テクノロジーならシリコンバレー、エンタメならロサンゼルス、広告・ファッション・ファイナンスならニューヨーク、科学ならボストンまたはケンブリッジ(イギリス)、ファイナンスならロンドンと言ったところだ。
これらの集積地では、より深い仕事上のコネクションをはるかに築きやすく、セレンディピティを通して、新たな人と出会い、より多くの仕事を見つけることができる。実際、一部の業界では、特定の地域にしかトップレベルのポジションは存在していない。米国のエンターテイナーやパフォーマーの4分の3はロサンゼルスに住んでいるのだ。10 また、各地域ごとにたいてい大幅な賃金の差があり、これはかかる生活費の違いをさしおいても大きな違いとなっている。
しかし、それはこれらの地域の特殊性の一部に過ぎない。2008年現在(これは現在もこの大まかなパターンは当てはまると思われる)、世界の10大経済都市地域は、世界の人口の6.5%しか占めていないが、特許を取得したイノベーションの57%、最も引用された科学者の53%、経済生産高の43%を占めている。11 これらから、イノベーションと経済生産高に関しては、これらの地域にいる人は、普通の人に比べて8倍の生産性を誇ることになる。
2008年におけるこれらの地域は以下の通りとなる: (1)東京大都市圏、(2)ボスウォッシュ(ボストン-ワシントン)、(3)シカゴ-ピッツバーグ、 (4)アムステルダム-ブリュッセル-アントワープ、(5)大阪-名古屋、(6)ロンドンおよびイングランド南東部、(7)ミラノ-トリノ、(8)シャーロット-アトランタ、(9)南カリフォルニア(LA-サンディエゴ)、(10)フランクフルト-マンハイム。また、シリコンバレー、パリ、ベルリン、デンバー・ボールダーも、1人当たりのイノベーション率が最も高い都市として特筆に値する。
なぜこれらの地域がこれほど生産的なのかは正確には不明だが、少なくともその一部は、イノベーションは他のイノベーターとの緊密な交流を通して生まれるからだと思われる。文化や社会規範も重要かもしれない。もしそれが本当ならば、これらの地域に移住した方が、よりブレークスルーを起こせる可能性が高まることが示唆される。確かに、我々がアドバイスした人の中には、別の都市に引っ越すことでキャリアが飛躍的に進展した人も何人かいた。(これに関しては、エドワード・グレイザー著『Triumph of the City』をご覧あれ)
タイに移住すべきか?
これとは反対の戦略として、楽しくて、安いところに移住するというものがある。これは、リモートワークの台頭によってかつてないほど簡単になっていて、生活の質を高めるのには適している。また、新たなプロジェクトを始めたり、勉強を始めるたりするために、貯金を長続きさせたい場合にもいい。詳しくはここから。しかし、上記の理由から、キャリアの初期段階にいる野心的な人であれば、その業界の中心地に引っ越したほうが良いかもしれない。
住んでいる場所と私生活
あなたがどこに住むかは、他にも様々な点で重要だ。米国で2万人を対象に行われたある調査によると、住んでいる場所に対する満足度はその人の生活の満足度の主要な要素であることがわかった。10
これはなぜかというと、どこに住むかというのは、あなたの生活の多くの重要な側面を決定するからである。
住む都市を変えることの主な代償は私生活だ。友人のネットワークを築くのには長い時間がかかるし、身内や親戚とは離れ離れになるだろう。親密な人間関係は人生の満足度を左右する最も重要な要素であることを考えると、これは些細なコストではない。
私たちは、良いことをしようとしている人々が集まる「産業の中心地」に近づくために、80,000 Hoursの事務所をサンフランシスコのベイエリアに移したが、数年後イギリスに戻ることにした。その主な理由はこれまでに述べたことによるところが大きい。
もし、故郷の社会生活に馴染めないのであれば、他の都市に移ったほうが得をする可能性が高い。もう一つの選択肢としては、人脈を築くために数年間移住し、その後に故郷に戻るという手もある。また、もし移住ができないのであれば、業界の中心地を定期的に訪れるという手もある。
もし、どこに住もうか迷っているなら、理想的には、少なくとも2、3ヶ月はそれぞれの都市で生活してみるのが良いだろう。
もし、このトピックについてさらに学びたいのであれば、リチャード・フロリダ著『Who's Your City』をお勧めする。付録には、住む場所の満足度の予測因子に基づいて各都市を評価するための、スコアカードがついている。ただし、彼の実際の住む場所ランキングはあまり信用できないし(例えば、この批判をご参照)、このデータは2008年のものだ。また、このトピックに関するポール・グラハムのエッセイもとても面白かった。私たちのコミュニティがどこに集まっているかについてはこちらから。
より幸せになるためのアドバイスのほとんどは、たいしたものに基づいてはいないが、以前の記事で取り上げたように、ここ数十年の間で「ポジティブ心理学」(ウェルビーイングの要因を科学する学問)が台頭している。
この分野の研究者は、より幸福になるための実用的で簡単なエクササイズを開発し、それらが本当に効果的かどうかを厳密な実験を通じて検証している。私たちは、この分野から自己啓発のアドバイスを得るのが最も適していると考えている。
この研究は部分的には基本的なことがらの重要性を強調している。睡眠、運動、家族や友人、そしてメンタルヘルスだ。しかし、これらだけでなく、他にもたくさんの役に立つ発見をしている。
より幸せになることは、それ自体が良いことであるだけでなく、生産性を高め、より良い社会変革の支持者となり、より燃え尽きにくくなる点も優れている。
以下は、この分野の創設者の一人であるマーティン・セリグマン教授が推奨するテクニックの一覧である。これらのほとんどは、彼の著書『Flourish』に収録されている。これらのテクニックのいくつかはすでに別の場面でもうまく再現されており、また、直近の複数のメタ分析により、これらのテクニックすべてが統計的に大きなポジティブな影響を及ぼすことがわかっている。13 試してみて、もし役立つようであれば、使い続けるのがよい。
より多くのエクササイズをするには、『Clearer Thinking』の無料コースをチェックして、ソニア・リュボミアスキー著『How of Happiness』を読んでみて。
私たちは、収入がなくとも、少なくとも6ヶ月、(再就職にかかる時間にもよるが)理想的には12ヶ月快適に暮らせるだけの貯蓄を目指すことを推奨している。これによって、安心感だけでなく、より柔軟に大きなキャリアチェンジやリスクのある選択を行うことができる。また、標準的なアドバイスでは、老後のために収入の15%を貯蓄するのが良いとされている。
では、どうすればお金を貯められるのか?
支出を減らすよりも、特に給料を交渉することなどして、収入を増やすことに集中することがより効果的かもしれないことはお忘れなく。
(収入の)15%が貯蓄できるようになり、最低でも6-12ヶ月分の猶予ができたら、次のステップに進もう。
(チャリティに寄付したい人のためのパーソナル・ファイナンスに関する読み物はこの導入ガイドと上級ガイドをご覧あれ)
どんな仕事でも役に立つスキルの一つは、学び方を学ぶことだ。
意外かもしれないが、学習スピードを格段に速くすることは可能だ。その一例が、間隔を空けた反復学習だ。外国語の単語など、何かを暗記しようとする場合、その単語を復習するのに最適な頻度があることが研究でわかっている。この頻度を活用すればより早く暗記できる。これをやってくれるようなツールもあって、Ankiのように、フラッシュカードを作ってくれるものもある。Ankiの使い方についてはこちらのエッセイをご覧あれ。
他にもたくさんのテクニックが存在する。この分野で一番のおすすめは、バーバラ・オークリー教授によるCourseraの『学び方を学ぶ』というコースだ。これは現在最も試聴されたオンラインコースとなっている。このコースのもとになっている本『A Mind for Numbers』を読むこともできる。
もし、特定のトピックをより詳細に学びたい、もしくはあなたにとって重要な分野で新たに意見を形成したいと思うのであれば、書いて学んでみるのも有用だろう。
最後に、K.アンダース・エリクソン教授の『Peak』は専門知識を身につけるための練習の重要性と、最も効果的な練習方法について書かれた(論争を呼ぶが)魅力的な本である。簡潔にまとめると、身につけるべきは以下の項目だ:
多くの人は何千時間も運転に費やしているのにも関わらず、プロの運転手になれていない。これはなぜかというと、これらの要素をすべて使った練習をしていないため、すぐにスキルが頭打ちになってしまう。これは、多くの仕事で多くの人にとっても同じである。
ファッデとクラインによる『意図的なパフォーマンス』は、どんな活動もスキルを向上させる練習に変える方法について書かれた素晴らしい論文である。要約はこちら。
基礎を学んだ後は、次の2つのステップで取り上げるように、より狭く応用可能なスキルを学ぶようにしよう。
11. 仕事でより良いパフォーマンスを発揮するにはどうしたらいいか、戦略的に考えよう
どうすれば仕事でよりパフォーマンスを発揮できるのだろうか?先ほど述べたように、仕事がうまくいくことは、他にもさまざまなメリットをもたらす。
熱心に働くことは役に立つ。他の人を10%上回ることができれば、それだけで目立つことができる。しかし、熱心に働くよりも、スマートに働くほうがより良い。
ここで考えたい重要な質問の1つは「この職務で昇進するために、本当に必要なことは何か?」である。さまざまな要素に目が向きがちだが、本当に重要なことはほんのわずかしかないことが多い。営業担当者であれば、収益であり、学者なら、どれだけ多くの優れた論文を発表したかである。
その分野で成功した人たちに話を聞き、その鍵となるものが何かを見極めよう。彼らの言うことをただ信用するのではなく、実際に彼らが何をしたかを調べるのだ。そして、先ほどの「学び方を学ぶ」のセクションの資料を使って、それを習得する方法を考えよう。それ以外のことは行わないようにする。
より詳しく学ぶには、カル・ニューポートの著作をお勧めする:
どの仕事にも役立つが、明確には教えられないことが多いスキルのもう一つの例は、明晰な思考力である。研究によると、知性と合理性は別物であることが示唆されている(これは頭の良い人が間抜けな決断をすることが多い理由なのかもしれない)が、幸いなことに、合理性の方が訓練しやすい。
世界をより良い場所にしたいのであれば、明晰な思考力は特に重要である。このガイドの残りで述べるように、大きなソーシャルインパクトをもたらすためには、多くの難しい判断を下し、生まれつきのバイアスに打ち勝つ必要がある。また、はっきりとした答えがなく、分別に頼るしかないような分野でそれを行うということである。
では、どうすればより合理的になれるのか?
大まかに言えば、正しいマインドセットを持つこと、正しい思考習慣を身につけ、実践すること。
より良く考えることに関する研究として最も優れているもののうちいくつかは、フィリップ・テトロックによる予測に関する研究だと考えている。彼は、次の選挙で誰が勝つのか、ロシアがウクライナに宣戦布告するかなど、予測が困難な事象について人々に予測をさせ、誰が最も良い結果を出したかを測定した。そして、最も優れた予測者の特徴を特定し、それを用いて、予測をトレーニングするプログラムを開発した。最終的に、そのプログラムを試し、それが本当に人々がより良い予測をするのに役立つという証拠を発見したのだ!
この研究に基づき、判断力を高める方法について、優れた予測者のマインドセットとテクニックを要約した別の記事を書いた。また、キャリブレーションのトレーニングを行ったり、自分で予測を立てたりすることで、自分のスキルをテストしてみる方法についても説明している。
より広い意味で、より良く考えられるようになるためには、何が役立つだろうか?
正しいマインドセットを身につけるためには、(私たちのポッドキャストでもインタビューした)ジュリア・ガレフ著『マッピング思考 - 人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』をお勧めする。
これはより良い考え方の習慣を身につけることでもある。何十年にもわたる研究によって、私たちはしばしば認知バイアスによって誤った決断をしてしまうことが明らかになっている。
これらのバイアスに気づくだけでは、残念ながらそれらを克服することはできないが、考え方を改善する動機づけになる。また、研究によると、このようなバイアスにより抵抗できるようになるための考え方の習慣を身につけることができるようだ。
例えば、意思決定に関するいくつかの研究によると、1つの選択肢しか考慮しない「するか、しないか」の意思決定は、複数の選択肢を同時に比較する意思決定よりも、成功したと判断される可能性がはるかに低いことがわかった。これによると、意思決定をする際は、最低でも3つの選択肢を検討するというシンプルな習慣を身につけることが有効であると示唆されている。この他にも多くのアドバイスがチップとダン・ヒースによる『Decisive』に特集されている。私たちも、こうしたテクニックのいくつかをキャリアの意思決定プロセスに取り入れている。
正確に、世界を理解したり、未来を予測するためには、新しいエビデンスを得るたびに、正しい方法で(つまり、ベイズ理論に沿って)自分の意見を更新することが重要だ。これは、非常に重要な考え方なので、私たちのポッドキャストで、このことについてのエピソードを作った:新しいエビデンスをもとにどの程度自分の信念を更新すべきなのか?スペンサー・グリーンバーグ博士による科学的手法を使って日々の難しい質問に答えを出す方法
結論としては、概念とメンタルモデルの道具箱を構築することで、より良く考えられるようになるということだ。これは、あらゆる分野における大きな考え方を理解することを意味している。80,000 Hoursの元メンバーのピーター・マッキンタイアは52のキーコンセプト・リストを作成した。そこに登録することで、それらを毎週のメールを通して、1年で学ぶことができる。
基本的な統計学と意思決定分析を理解することは特に重要だ。複雑な問題に対して合理的なアプローチを取る方法について書かれた素晴らしい本として、ダグラス・ハバード著『How to Measure Anything』がある。
さらにより深く考え方を磨きたいのであれば、優れた判断力とそれを身につける方法に関するメモや明晰な思考力に関する無料コースをご覧あれ。
基礎を固め、何事も効果的に取り組めるようになるためのスキルを学び、仕事で最高のパフォーマンスを発揮する方法を考えたら、次はマネジメントやマーケティングといった従来の仕事のスキルに目を向ける番だ。
これらのスキルを向上する一番良い方法は、経験豊富な人からフィードバックを受けながら、自らの仕事で実践することだ。
よって、独学で勉強するよりも、日々の仕事に新しいスキルを取り入れたり、サイドプロジェクトを始めたりすることをお勧めする。例えば、ウェブデザインを学びたいのであれば、自分が関わっているコミュニティのページをボランティアでデザインする。また、抽象的に学ぼうとするよりも、プロジェクトを行う方がはるかにやる気が出る。(そして、先ほどの学び方の学び方のセクションのアドバイスをもれなく実践することも忘れずに。)
そうはいっても、Udacity、Coursera、EdXのような安価なオンライン講座が飛躍的に増えたおかげで、独学も以前より簡単になっている。
どのスキルを学ぶのがベストか?
私たちは、最も魅力的な仕事において、どのポータブルスキルが最も役に立つのかについての分析をした。それによると、一般に最も役に立つのは:
これらはを大まかに「リーダーシップ」スキルと分類することができるだろう。そして、これらはGPTの時代において、最も価値のあるスキルのひとつであることに変わりはない。
これらのスキルを向上させる様々な方法については、上記の「優れた思考」、「学び方を学ぶ」、「社会的スキルの向上」の項ですでに取り上げている。
リーダーシップのスキルの問題点は、多少の改善はできても、基本を学んだ後の改善の速度がかなり遅くなる傾向があることだ。
プログラミングと比べて考えてみよう。知識ゼロの状態から、1、2年の練習で役に立つ能力を身に付け、そこからさらに高度な専門知識に進んでいける。
では、どうすればよいのか?私たちが提案するのは、列挙したリーダーシップ・スキルを顕著に向上させる具体的な方法があれば、それを実践し、その後は、技術的スキルや定量的スキルなど、具体的に役立つが早く習得できるスキルや、キャリアプランに特に役立つと思われるその他の専門職的スキルに集中することだ。
また、自身の適性を加味する必要もある。他の人に比べてあなたにとって早く習得できるスキルもあれば、それはあなたの努力をより効果的にするだろう。また、どのスキルが将来就きたい職業に最も役立つかを考える必要がある。
言い換えれば、次の要素を最もよく併せ持っているスキルを探したい:(i) あなたのキャリアにとっての将来的価値、(ii) あなたにとってすぐに習得できること
以下は、習得を検討すべきスキルのリストである。
どれか1つ選び、それに3ヶ月(専門的に学ぶ場合はそれ以上)集中的に学ぶ。
キャリア資本に関する記事には、価値のあるポータブルスキルのリストやより詳しく学ぶための資料を列挙している。それらは、機械学習、ソフトウェア設計、データサイエンス、情報セキュリティ、応用統計学、マネジメント、マーケティング、営業、中国やその他新興経済に関する知識などである。
大学院についてのセクションでは、機械学習と経済学の知識、その他の(コンピュータサイエンス、物理、統計学などの)応用定量科目、パンデミック予防に関連する(合成生物学、数理生物学、ウイルス学、免疫学、薬理学、ワクチン学など)生物学の分野、安全保障学、国際関係、公共政策、法律などの重要性を主張している。
ソーシャルインパクトに関して言えば、インパクトの大きいキャリアに関する記事で取り上げた、以下の分類を活用することもできる。組織作りや起業家精神、コミュニケーションやコミュニティの構築、研究、政府や政策に関する知識。
どのスキルの組み合わせが一番良いか?
主要なスキルを一つに絞るのか、多くのスキルを探求するかを検討してみよう。分野によっては、成功するためには一つのことに秀でることが重要になる。例えば、学問的なキャリアでの昇進は、主に論文の質に左右される。そのような場合は、その一つのことを得意にすることに集中しよう。素晴らしい業績が1つあるほうが、そこそこの業績をいくつか持っているよりも、可能性を広げていくために役に立つ。
しかし、他の分野では、珍しいスキルの組み合わせを持ち、そのニッチの中で一番の人になることが有効だ。例えば、『ディルバート』の作者のスコット・アダムスは、自分の成功の要因を、まあまあ面白い冗談を言えること、漫画を描けること、そしてビジネスの世界について知っていることにあると述べている。それぞれの次元で彼より優れた人はたくさんいるが、3つすべてを合わせて、彼は世界最高の一人となった。
とはいえ、すべてのスキルの組み合わせに価値があるわけではない。どの組み合わせがベストなのか、あるいは単一のスキルに集中するのか、それともポートフォリオ型にするのかについて、確固としたアドバイスはできない。
しかし、たしかに価値があると思われる組み合わせとして、定量的スキルとソーシャルスキルがある。テクノロジーが進歩するにつれて、人とテクノロジーの交差点で働ける人材に対する需要はますます高まっている。そして、人は通常どちらか一方に特化するため、両方に長けた人材は不足しているのだ。17
以上のステップを通して、比較的達成しやすい目標を達成し終え、様々な分野を探求した後、終盤戦で考えるべきことは、価値あるスキルセットやグローバルな問題におけるリーダーとなることだ。これこそ、熟達による深い満足感を味わい、その分野に大きなインパクトを与えることができる。しかし、これまで紹介した点は、数年で網羅できるが、専門家になるには通常数十年かかる。
では、どうすれば、専門家になれるのか?これに関しては大きな議論が展開されている。
一般的には、どの分野においても、何人かの人は生まれつきの才能があり、その人はいとも簡単に達人になれると信じられている。
専門家のパフォーマンスに関する研究で最も有名な研究者K.アンダース・エリクソンは、(以前のキャリア資本に関する記事で取り上げたように)この考えをほとんど否定している。スキルに大きな差がつくどんな分野であっても、最高のパフォーマンスを発揮する人たちは皆、たいてい一流の指導者のもとで、膨大な量の集中練習を行っている。モーツァルトのような天才児は、若いうちからより多くの練習を積み重ねることで熟達したのだ。
しかし、必要なのは主に練習なのか、それとも才能も重要なのかについてはまだ議論が続いている。18 まだ合意に至っていないことを考えて、最も合理的な立場を取ると、両方大事なのだろう。
つまり、専門家になるためには、以下の4つのことが必要だということだ:
どれほどの練習が必要かは分野によって異なってくる。ランニングのように、確立されていて予測可能な分野では、練習の量が最も重要なことだというエビデンスがある。より新しく、より流動的な分野では、より早く最前線に立つことができる。
では、どうやって分野を絞るべきなのだろうか?
まず、第一に(おそらく)何十年もかけて取り組むのであれば、価値のある分野やスキルを選びたい。どのようなグローバルな問題が最も重要で、どのスキルに最も価値があるか、そしてインパクトの大きいキャリアパスについてはそれぞれの資料をご覧あれ。
第二に、専門知識を得る見込みのある分野を選ぶことだ。ここで、一つの近道は新しくて見過ごされている分野に集中することだ。なぜなら、そうすることで、より簡単に最前線に立つことができるからである。例えば、GiveWellはその分野での経験がほとんど無かったのにも関わらず、5年ほどでチャリティ評価の専門家としての地位を確立することができたと考えている。
それ以外にも、個人的な適性に関する記事で取り上げたように、誰が最高のパフォーマンスを発揮するかを前もって予測するのは難しい。そのため、例えば、専門家に自分の可能性を評価してもらうことで、取るべき選択を絞り込むことは可能だが、結局は多くの分野に挑戦することが重要だ。
ここでは分野の選び方についての全体的なプロセスを大まかに紹介する。
専門性を身につける方法についてより詳しく学ぶためには、K.アンダース・エリクソン著『超一流になるのは才能か努力か?』がお勧めだ。(ただし、彼は才能よりも実践の熱烈な支持者であることを覚えていてほしい。)また、アンジェラ・ダックワースの『やり抜く力-GRIT-グリット-――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』もお勧めだ。これは情熱と忍耐力を高める方法について書かれている。
専門家が貢献するもう一つの重要な方法としては、まだ誰も思いついていない新たな解決策を考え出すことだ。残念ながら、私たちはより革新的になるための良いアドバイスは持っていないが、アダム・グランド教授の『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』はお勧めだ。
専門家になったら、それからどうするのか?世界で最も差し迫った問題を解決するためにそのスキルを使うのだ。貢献できることを実行しよう。
それぞれの問題が何を最も必要としているかについては、課題概略の一覧表より詳しく知ることができる。
結局のところ、良い目的のために使わなければ、上記のすべてのアドバイスに大した価値はない。
より良い人間になるということは、自分自身の価値観を理解し、その価値観に沿って人生を生き、意義のある人生を送るということだ。
より良い人間になるというのは生涯にわたる旅である。以下はそのためのステップだ。
たとえあなたが今、理想的な仕事に就いていないとしても、自分自身をより幸せにし、より生産性を高め、世の中により良い影響を与えるためにできることがたくさんあるのだ。
知識や生産性は複利のようなものだ。ほぼ同じ能力をもつ2人の人間がいたとして、1人がもう1人より10%多く働けば、後者は前者を2倍以上上回る。知れば知るほど、学ぶようになるし、学べば学ぶほど、できることが増え、できるようになればなるほど、より多くの機会に恵まれる。 - リチャード・ハミング『You and Your Research』
生産性と学習方法に関する教材を応用すれば、あらゆるものごとをより早く学ぶことができる。それと同様に、ポジティブ心理学の教材を実践すれば、より幸せになり、生産性を高めることができる。自分を支えてくれる人たちに囲まれていれば、他のすべてのことにも役に立つ。
こうして何年もかければ、成功する方法を学び、キャリア資本を築き、初めに予想していたよりもはるかに多くのことを達成することができる。
だから、これらの分野から一つ選び、始めよう。(もし、始めるのが難しい場合は、セクション9のモチベーションの秘訣をチェックしよう!)
次に、このガイドで取り上げたすべてのことをまとめ、計画の失敗を避ける方法を紹介する。
休憩ついでに、これらのアドバイスをどのように日課に組み込んだのかを学んでみよう。
本文の注に関しては原文を参照してください。